1816-17

トレンタ〜ヴルシッチ峠〜ブレッド

スロヴェニア・クロアチア 17

開催日 2018年08月16日(木)晴れのち曇り
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★☆
難易度 ▲▲△
走行距離 58km
累積高度 1,100m

ヴルシッチ峠
ヴルシッチ峠

コース紹介

朝日を浴びながらつづら折りの道を黙々と上れば、標高1,611mのヴルシッチ峠からは白く険しい山々の織りなす風景が一望に。下り途中でロシア人のチャペルに立ち寄り、あとはサヴァ川沿いに森や谷間を抜けて観光名所のブレッド湖まで。

動画(06'26" 音声:BGMのみ)

地図:GoogleマップgpxファイルGARMIN ConnectGPSies

発着地 累積距離 発着時刻  ルート 備考
Kekčeva domačija
900m
START 発08:30 一般道 朝食:宿
T字路
800m
2km 着08:40
発08:40
206 ここからつづら折れ上り
Vršič Pass
1611m
11km 着11:05
発11:50
206 ここから下り
休憩:Tičarjev dom/Vršič Passすぐ横
Russian Chapel
1120m
17km 着12:15
発12:30
206 1916年の雪崩で300人以上が犠牲となった
ロシア人のためのチャペル
Lake Jasna
840m
22km 着12:50
発12:55
206
Kranjska Gora
800m
23km 着13:05
発14:35
自転車道
一般道
昼食:Gostilna Cvitar
Liznjek Farm/18世紀の農家を利用した博物館
Mojstrana
710m
37km 着15:15
発15:15
地道
自転車道

Jesenice
570m
46km 着16:05
発16:05
一般道
634
52km地点685m
Bled
510m
58km 着17:10
夕食:Oštarija Babji zob
泊:Jazz Hostel Bled/82.54€
時差: -7h(サマータイム)/日の出05:20ごろ、日の入21:20ごろ/
為替レート:1€=133円、1HRK=19円/

高原の宿の朝高原の宿の朝

爽やかな高原の朝。

澄んだ空気と朝の光に誘われてロッジの部屋から出てみると、すばらしい快晴です。

朝日を受ける山並み朝日を受ける山並み

母屋のテラス側の草原に来てみれば、北の山並みに朝日が届いていました。

東の山々東の山々

東を向くと、太陽はまだユリアン・アルプスの山々の背後に隠れています。

テラスで朝食テラスで朝食

そして、そんなテラス席で朝ごはんです。

パンと紅茶、自家製のバター、ジャム、果物、そして今摘んだハーブがたっぷり入ったオムレツ。久しぶりの紅茶はいい香り。

宿を出発宿を出発

山の間から朝日が差してきました。今日は峠越えなので、気合いを入れてスタート。

宿のご夫婦からエールをもらいます。「ヴルシッチ峠までは昨日よりずっときついよ! でも、その後はブレッドまではずーっと下りだからね」

林の中を行く林の中を行く

まずは昨日来た道をT字路に向かいます。

険しい山に囲まれた林の中のダート道を行く。

T字路までの下りT字路までの下り

そして舗装路に出たら爽快な下り。

「でもどうせ峠まで上るんだから、もったいないよ。下りたくないんだけどなあ」とサリーナ。

ここから上りここから上り

2kmほどでT字路に到着。標高差100mほど下りました。

標高800mのここからいよいよ上り。ヴルシッチ峠アタック開始です。

峠を上り始める峠を上り始める

標高1,611mのヴルシッチ峠までは約800mの標高差を9kmで上るので、平均勾配は9%くらい。

「最初から結構きついなあ〜」とサイダー。

カーブ番号の看板カーブ番号の看板

勾配のきついつづら折りのくねくね道がずっと続きます。そしてカーブのところには番号と標高を記した看板が。T字路を出て最初の看板は48番でした。ここは46番で、標高は896mと書いてあります。

「あと45もカーブがあるのか。。」と目的地の遠さに気合いを削がれます。あとでわかったのですが、この数字は下りのカーブも含まれているので、頂上までは半分くらい。

北の白い山並み北の白い山並み

黙々と上っていくと、どんどん景色は開けてきます。

北の方の山並みが堂々とした姿を見せ始めました。山頂は白くて雪のように見えますが、カルストの岩場ですね。

上るサリーナ上るサリーナ

カーブの続く道は、日向になったり日影になったりしながら林の中を進んでいきます。

ときどき車やモーターバイクが通っていきますが、「意外に自転車が少ないね〜」

上るサイダー上るサイダー

方向が変わると、今度は南の山並みが見えてきます。

右前方のぎざぎざ山はZadnjiški Ozebnikかな。

標高1,000mを越える標高1,000mを越える

41番カーブにさしかかりました。

ここでついに標高1,000m越え。ようやく200mほどの高度を上ってきました。「まだ600mもある」と思っていはいけません。

南の山々南の山々

上っていれば南の山々が少しずつ上から横へと位置を変え、だんだん視界が開けていきます。谷底も姿を現してきました。

どんどん上るどんどん上る

つづら折りをヨロヨロ上るサリーナ。

ひたすら上るひたすら上る

ヘロヘロと上るサイダー。

白い山の壁白い山の壁

ずいぶん上ってきました。

目の前に屏風のような白い山の壁が迫っています。

山と並行して上る山と並行して上る

くねくねカーブ道はほぼ終わり、まっすぐな坂道をさらに淡々と上っていきます。

白い大きな山々が道と並行してすぐ近くの横に並んでいます。

最後のカーブ最後のカーブ

そして久しぶりのカーブの番号は25番。もう20以上のカーブを通過してきました。

標高は1,580m。これが峠への最後のカーブ、とペダルを踏みしめるサリーナ。

ヴルシッチ峠に到着ヴルシッチ峠に到着

そして上ること約2時間半、ついにヴルシッチ峠に到着です。やった〜〜

ここは、スロヴェニアで最も標高の高い峠です。周囲の山々を縦走するスタート地点として人気の場所だそうで、車で来たハイカーがたくさんいました。

峠の頂上では、自転車で上ってきた人たちも結構見かけました。私たちのように南側から上る人より、北から上ってくる人たちが多いようです。

南の眺望とサイダー南の眺望とサイダー

峠では、私たちが上ってきた南側の眺望が開けています。

そんな南を背景に、サイダーがポーズ。

峠の横の山峠の横の山

峠の頂点のすぐ横を見上げれば、急勾配の荒々しい山肌の上に白い岩山が並んでいます。

ひつじ軍団ひつじ軍団

さて、上り疲れたのでちょっと休憩しましょう。

峠の頂上から少し右手に上ったところにカフェ・レストランがあります。その上り道では、なぜか羊軍団がかなりくつろいでいます。

峠の上のカフェ・レストラン峠の上のカフェ・レストラン

その先にあるのがこの Tičarjev dom というカフェ・レストランです。峠よりさらに見晴らしのいい場所でした。

まだ11時過ぎとお昼にはちょっと早いので、飲み物休憩。

南への見晴らし南への見晴らし

そのカフェからの南への見晴らしはこんな感じ(TOP写真も)。

重なる山並みの絶景を背景に、満面笑顔のサリーナ。

峠道まで下りる峠道まで下りる

一休みして元気を回復したら、いよいよ下り始めましょう。

まずはカフェから峠の頂上まで下りていきます。

峠の下りスタート峠の下りスタート

そして、R206の峠の下りスタート。

このヴルシッチ峠は「ロシア人の道」とも呼ばれ、20世紀初めに1万人にも上るロシア人捕虜たちによって、軍事目的で建設された道なのだそうです。

岩の壁を背景に下る岩の壁を背景に下る

背後には荒々しい白い岩の壁。

写真は上っているかのように見えますが、ずっと下りなのでご安心を。。

カーブの石畳カーブの石畳

そして、下りとなる峠の北側でもつづら折りのヘアピンカーブが続きます。

南側と違って、こちらではカーブ部分はすべて石畳になっています。急勾配で滑らないようにと配慮してつくったのでしょうが、下り自転車にとってはボコボコでちょっと走りにくい。

険しい頂とサイダー険しい頂とサイダー

周囲はゴツゴツした頂の山々が列をなして聳え立っています。

このすごい景色を一気に下るのはもったいないと、ときどき停まってゆっくり眺めます。

カルリナ・アカウリスカルリナ・アカウリス

足元をみると、金属のような白銀の花びらの巨大タンポポが咲いていました。これはカルリナ・アカウリス(キク科)。2015年夏に上ったスペインのピコス・デ・エウロパでも見かけました。

絶景を下る絶景を下る

山岳の景色の中をさらに下ります。

この下りでは、上ってくる自転車の人たちに結構出会いました。北のクランスカ・ゴーラから上ると12kmで約800mの標高差。周囲に広がる景色はこちらの方がよさそうです。

下るサリーナ下るサリーナ

ゴツゴツした頂の連続を背景に下るサリーナ。

林の中のチャペル林の中のチャペル

何度かカーブを曲がり、標高差で500mほど下りてきたところに『ロシア人のチャペル』(Ruska kapelica)があります。

自転車を置いて林の中を少し上ると、木造の建物が見えてきました。

ロシア人のチャペルロシア人のチャペル

1915年、オーストリア軍がロシア人捕虜を使ってここに軍事用道路の建設を始めましたが、1916年3月に大規模な雪崩が発生し、多くの人が犠牲になったといいます。同年11月にロシア人捕虜によってこのチャペルが建てられ、雪崩の犠牲者はその隣の小さな墓地に埋葬されたそうです。

木造のチャペル木造のチャペル

チャペルの建物は木造で、板張りで覆われています。バロック様式の丸屋根を持つ2の塔があり、これはロシアではよく見られる様式だとか。

残念ながら中には入れませんでしたが、素朴なつくりながら界壁のある祭壇や、鋳鉄のシャンデリアや蝋燭立てなどが見所だそうです。

Pišnica川Pišnica川

さらにどんどん下っていくとPišnica川が近づいてきて、橋を渡ったあとは川に並行して走ります。

川遊びや釣りを楽しむ人たちも見られました。

湖と自転車湖と自転車

下りはほぼ終わり、川が流れ込む湖に出てきました。

このあたりには、周辺を走るファミリーサイクリングや峠を目指すロードレーサーなど、自転車の人たちがたくさんいます。

ヤスナ湖ヤスナ湖

ここはヤスナ湖(Jasna Jezero)といって、川の間につくられた人造湖だそうです。

湖の北端に降りてみると、エメラルドグリーンの湖面のはるか先に白い三角岩の険しい山が聳えています。

クランスカ・ゴーラに向かうクランスカ・ゴーラに向かう

湖沿いのどこかで昼食と思ったのですが、カフェ的なところはあってもレストランが見つかりません。

それではと、湖のすぐ先の町クランスカ・ゴーラに向かいます。

クランスカ・ゴーラ中心部クランスカ・ゴーラ中心部

すぐにクランスカ・ゴーラの中心に到着。中央教会の塔が聳え、広場にはカフェやレストランのテラスが並んでにぎやかです。

ここは、スロヴェニアのユリアン・アルプス観光拠点となっている町です。自転車の人もとても多い。

Gostilna CvitarGostilna Cvitar

そんな中の1軒、Gostilna Cvitarというレストランで昼食にしました。

サラダバイキングと、お肉ソテー3種盛りにお米を添えて。お肉は牛肉、豚肉とハンバーグ。かなりのボリュームでしたが、上りにエネルギーを使ったからか、ぺろりと完食。

クランスカ・ゴーラを出発クランスカ・ゴーラを出発

満腹になって、再び自転車スタート。

クランスカ・ゴーラには、スロヴェニア・アルプス博物館や民俗博物館など見所もありますが、ブレッドまではまだ40km近くあるので残念ながらパス。

自転車専用道自転車専用道

町を出ると、すぐに自転車道に入りました。

緩い下りの自転車専用道が東に向かって続いています。

サリーナが走るサリーナが走る

こりゃ〜快適だわ〜、とサリーナ。

家族連れやカップルなどがたくさん走っています。

牧草地に出る牧草地に出る

牧草地が広がっているところに出てきました。牛や馬もいます。

サヴァ川サヴァ川

橋を渡ります。この川はサヴァ川(Sava)で、しばらくこの谷間を一緒に東へと進みます。

サヴァ川はグランスカ・ゴーラのすぐ西で生まれ、ここからブレッドやリュブリャナを通り、国境を越えてクロアチアを抜け、セルビアのベオグラードでドナウ川に注ぎ込みます。全長990kmのこの川は、リュブリャナ、ザグレブ、ベオグラードと3つの首都をつなぐ壮大な川なのです。

旅の自転車旅の自転車

自転車道をどんどん進む。

旅の自転車も通り過ぎていきます。

サヴァ川と並んで走るサヴァ川と並んで走る

そして、サヴァ川とは近づいたり離れたりしながら、一緒に進んでいきます。車が走るのはR201。

鉄橋を渡る鉄橋を渡る

その先で、サヴァ川を渡るところが鉄橋になっていました。

何だか楽しい自転車道ですが、ここには昔トロッコ列車でも通っていたのでしょうか。

また鉄橋また鉄橋

そして、しばらく走るとまた鉄橋があり、再びサヴァ川を渡ります。

橋を独り占めして楽しそうなサリーナ。

サイダーが走るサイダーが走る

自転車道は続く、どこまでも。

「これなら余裕じゃな〜」と嬉しそうなサイダー。

家族連れが走る家族連れが走る

家族連れの子どもたちも元気に走っています。

こんな雰囲気の中、あっさりブレッドに着くのかと思われたそのとき、、

川沿いのダート川沿いのダート

Mojstranaを過ぎようとしたところで舗装路が途切れ、ダートになりました。「そ、そんな〜」と言いつつ、サヴァ川と並んでダートを走るサイダー。

ここは、Mojstranaの村を抜けて南側の道を行けば舗装の自転車道を進めたようですが、2kmほどで舗装の自転車道に戻ることができたので事なきを得ました。

丘を通る自転車道丘を通る自転車道

このあたりから、舗装路ながら自転車道は丘を上ったり下ったりと少しワイルドになってきます。

勾配17%という看板も! もちろん押し。

高速道路の横を走る高速道路の横を走る

そんなエリアを抜けると、今度は高速道路の横に出てきました。

この高速道路は、オーストリアのローゼンバッハから山の下のトンネルを7〜8kmほど抜けてやってきたものです。自転車じゃあ考えられない長さのトンネルですねえ。

JeseniceJesenice

高速道路をくぐって入った町はイェセニツェ(Jesenice)。鉄鋼業で発展してきた町だといいます。

町の中心部は通らず、サヴァ川とともに住宅地を走り抜けていきます。

R634を上るR634を上る

さて、ようやく目的地のブレッドに近づいてきたようです。ここからサヴァ川を離れ、高速道路と交差したR634に入ります。

このR634、最初はずっと上りです。それもヘアピンカーブがあったりかなりキツくて、14%という看板も。車も結構通るのでちょっと怖い。

牧草地を飛ばす牧草地を飛ばす

100mほどの高度差をヨロヨロと上ったら、Kočnaという住宅地を抜けて、気持ちのいい緩い下りに入ります。

森の一本道森の一本道

周囲は森に囲まれた牧草地で、その中の爽快な一本道をびゅーんと飛ばします。

ブレッドの宿へ向かうブレッドの宿へ向かう

そして、いくつか住宅地を抜けたらブレッドの町に入ってきました。

私たちの宿はブレッド湖の北側の高台にあります。町の北から入ると中心部を通らないので、まわりはとても静かな感じ。

Jazz BledJazz Bled

ついに到着しました。今日から3泊を過ごすのは、ホステルとアパートメントの部屋があるJazz Bledという宿です。

私たちはアパートメントの部屋へ。ダイニングキッチンと寝室があり、広くて設備も完璧で文句なし。

鱒のグリル鱒のグリル

そして、宿のオーナーのおじさんはスーパーフレンドリー。「え、ヴルシッチ峠を越えてきたの? 君たちすごいよ〜!」と驚かれ賞賛された後、お勧めレストランとか湖のビーチとか、景色のいいところなどいろいろ教えてくれました。

シャワーを浴びて一休みした後、お勧めレストランに行ってみました。夕食はタコのマリネサラダと鱒のグリルに白ワイン。この鱒のグリル、オリーブオイルとビネガー、ニンニクのきいたソースをかけたイタリア風で、とても美味しい。

今日は、この旅唯一の峠越えを何とかこなし、ユリアン・アルプスの絶景も楽しむことができました。明日は峠の疲れを癒し、ゆっくりブレッド湖周辺を観光する予定です。

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