今日は忙しいです。『貧乏人のガラパゴス』ことバジェスタス諸島(Islas Ballestas)、パラカス国立保護区の砂漠と海岸、そして砂漠の街ワカチナ(Huacachina)へ移動してのサンドボートと、イベントが三つもあるのです。
まず朝の部はバジェスタス諸島です。バジェスタス諸島行きのツアーは朝8時発と10時発の二回ありますが、時間が遅くなると風が出てきて欠航率が高まるそうなので、私たちは8時発です。
外に出ると、空は昨日と打って変わってどんよりとした曇り空。雨が降り出しそうなほどです。この時期のパラカスは朝方はいつもこんな天気で、午後になると晴れるのだそうです。
エル・チャコ(El Chaco)桟橋に8時少し過ぎに到着すると、長蛇の列が。ここパラカスにやってくる観光客のほとんどがバジェスタス諸島に行くのです。しかしツアーボートもたくさんあり、次から次へと人々を乗せて出航しています。
すぐにわたしたちも乗船となりました。ボートはオープンエアで40〜50人ほど乗れるものです。
8時15分、出航。ボートは船首を上げてぐんぐんスピードを増していきます。壮快! バジェスタス諸島まではこのボートで僅か30分ほどです。
左手に見えるのは私たちが昨日自転車で行こうとしたパラカス半島で、砂丘がどこまでも続いています。
ボートが半島を廻って北海岸に出ると、ガイドが前方の山を指差してなにやら説明を始めました。
よく見れば薄茶色の山の斜面にうっすらと白っぽい線が見えます。これは有名な地上絵で、一般的にはカンデラブラ(Candelabra:燭台)と呼ばれています。今から約2,500年前のものと推定されており、燭台とも木とも三つの十字架とも言われていますが、本当のところはわかっていません。ナスカの地上絵と何らかの関係があるのではないかとも考えられているようです。
絵は長さ180メートルで、クリーム色の岩に刻まれており、ほとんどが砂で覆われています。 しかし風が常に余分な砂を除去するので、この絵が完全に砂で被い尽くされてしまうことはないそうです。
この大燭台の下に目をやると、崖の縁が真白になっています。これは鳥の糞です。
その中に大型の鳥がいます。どうやらこれはペリカンのようです。ペリカンの上には真っ黒で顔だけ赤いヒメコンドル(Gallinazo de cabeza roja)の姿も。
空には大型の鳥がたくさん飛んでいて、ちょっと圧巻。
大燭台を見たら、ボートは速度を増してぐんぐん行きます。
先に島が見えてきました。あれがバジェスタス諸島でしょう。
島にボートが近づくと、岸壁の腹や上にびっしり鳥がいるのが見えます。
もの凄い数です。
そんな中に、よたよたと歩く生物が。よく見るとそれはフンボルトペンギンでした。
動物園以外でペンギンを見るのはこれが始めてです。
そして海面近くの岩の上にはアシカの群れが。
ごつごつした岩場から桟橋のようなものが突き出していて、その上や岩場にたくさんの種類の鳥がいます。ペルーカモメ(Gaviota Peruana)、グアナイウ(Guanay)、アオアシカツオドリ(Piquero camanay)、サカツラウ(Chuita)、ペルーカツオドリ(Piquero Peruano)、インカアジサシ(Zarcillo)。
ペルーカツオドリはこの時子育て中で、岩場には餌を待つ雛鳥がぎっしり。
空を舞うのは餌を運ぶ親鳥でしょうか。
どこもかしこも鳥だらけです。
ちょっとすました美人さんはサカツラウ( Chuita)。
『これは凄いね〜』 っと鳥の数に圧倒されるサイダー。
あたし、アシカよ〜
や〜ん、そんなに見ないでよ〜
ごら〜、そんなに見るんじゃねえってばよ=
がお〜
フゥワァ〜〜、飽きたよ〜〜〜
ヒッチコックの鳥のよう
ここにもいました、ヒメコンドル。
と、こんなふうにバジェスタス諸島の島々の間を30分ほど遊覧し、鳥とペンギンとアシカを堪能しました。
いや〜、バジェスタス諸島、これでUS$15はお得だね〜、と言っている間にエル・チャコに戻ってきました。
するとここでもペリカンが、まるで自分のものと言わんばかりの態度であちこちを占拠しています。
そのペリカンが飛ぶとすごい迫力。でかいです。
こちらはペリカンの滑空。身体が重そうですが、じょうずに飛んで行きます。
ボートは10時ちょうどに桟橋に戻ってきました。
桟橋の近くをぶらぶらしていると、ペリカンの大群がいました。どうやら観光用に餌付けされているようで、どんどん近づいてきます。ペリカンとキスしそう〜
さて、バジェスタス諸島の次はバスでパラカス半島の国立保護区へ向かいます。これは私たちのPeru Hopのおまけツアーで参加は自由なのですが、ほとんどの方が参加していました。
パラカス半島は砂漠なので、バギーカーでその中を疾走するのも人気です。
そしてマウンテンバイクも。
あ〜、私たちも昨日こんなところを走れたら良かったな〜
砂漠を突っ切ってスパイ海岸(Playa Supay)に出ました。
この海岸には断崖が続き、その中にカテドラルと呼ばれる岩があります。
これは、かつてはアーチ状をしていて大聖堂のように見えたからだそうですが、現在は崩落してしまい、アーチそのものはなくなってしまったとのこと。
この断崖を舞う真っ黒な猛禽類。
何人かはこの鳥をミニコンドルと呼んでいましたが、これはバジェスタス諸島でも見たヒメコンドルですね。
どこまでも続くスパイ海岸の断崖。
砂漠の色は場所によって微妙に異なるのですが、ここは黄色っぽいです。
この砂、きなこのようにとても細かいです。
カテドラルを眺めたら再びバスに乗車し、次のポイントへ。
パラカス半島の中のメインロードはアスファルト舗装ですが、ここはダート。
ユマケ海岸(Playa Yumaque)に着きました。
このすぐ傍に展望台があるのでそこに寄るのかと思いましたが、我らがガイドのウォルターは、今日はそこは混雑しているので別のところに案内すると言います。
もう一つのイストゥモ展望台(Mirador Istmo)もかすめ、私たちのバスはさらに高いところへ。
停車したのは周囲に何もないこんなところで、ウォルターは、あまり海に近づくと落っこちちゃうから気をつけてね、と言って私たちを送り出しました。
進んで行くと徐々に海が見え出しますが、この海側は急激に落ち込んでいて、うっかりすると本当に海に落っこちてしまいそうです。
こんもりした丘の上に到達すると、下に赤い海岸という意味のプラヤ・ロハ(Playa Roja)が見えます。
ここも断崖絶壁。
そして内陸側を見れば、どこまでも続く砂丘。
とても幻想的な景色です。
プラヤ・ロハのさらに先きにはラグニージャス(Lagunillas)というところが見えます。
あそこにあるのはシーフード・レストランで、とてもおいしいそうです。砂漠の中をサイクリングして、あそこでシーフードを食べたいな。
砂漠の中に小さな点が二つ。よく見るとこの点は二台の自転車でした。いいね。
プラヤ・ロハにやってきました。ここの砂は文字通り赤い。この赤い色は、近くにある固まったマグマを含むピンク色の花崗閃緑岩の塊に起因するそうです。
砂浜の赤と崖の黄土色との美しいコントラスト。
パラカス国立保護区の観光を終えたらパラカスをあとにし、ワカチナに移動です。バスは幹線道路をどんどこ行きます。パラカスを出てもバスの車窓から見えるのはご覧の通りの砂漠です。
ここで我らがアシスタントガイドのチャーリーは、ワカチナでのツアーの説明を始めました。ワカチナは砂漠で、サンドバギーとサンドボードが最高だと言います。価格は両方セットでUS$15と高くはありません。これらの注意点もしっかり説明していました。サンドバギーは危なくはないけれどそこそこスピードを出すので怖いと感じる人もいること。サンドボードでは他の人と接触し骨折した人がいることなど。
でもこのお天気じゃあ冴えないよね、と言うとチャーリーは、ワカチナは絶対に晴れだ、俺が保証する、と言います。さて、どうしましょう。まあこれは現地に着いてから考えるとしましょう。
しばらくすると窓の外の風景が変わり、ぶどう畑が現れるようになりました。イカ(Ica)に入ったのでしょう。イカはペルーのワインの7割を生産するワインの生産地で、蒸留酒ピスコの産地でもあるのです。
おっと、空が青いよ。チャーリーの宣言通り、ワカチナは晴れだ。
このあたりはコスタと呼ばれる海岸砂漠地帯で、年間を通して殆ど雨が降りません。南から流れる寒流のフンボルト海流の影響で、低緯度の割に気温は低く過ごしやすいのですが、直射日光はかなりきつく、肌を露出していると火傷を負ってしまうくらいです。
そんなんで道端の商店にガラスはなく、ほとんどがオープンエアで、日よけを備えています。
イカの街を通り抜けると、先に妙なものが見えてきました。
始めはチラ、チラッとしか見えず大きさがイメージできずに、リマで見たような泥でできた古代の遺跡かと思いましたが、近づくにつれ、それは砂の山であることがわかりました。
ワカチナに着いたのです。イカの街から3kmほどのところにあるワカチナは、砂漠の中のオアシスの廻りに作られた小さな村です。
私たちの宿は砂の山の目の前で、窓を明けるとド〜ンと砂漠が迫っているのでした。
宿に荷を解き、さっそくオアシスの廻りの散策に出かけます。
ここは砂漠なだけに非常に乾燥していて、陽の光はシャツを通り抜けて肌に届きそう。子供たちはオアシスで泳ぎ回っています。
そのオアシスは一周600〜700mの小さなもので、はっきり言うとこれはただの小さな池という感じです。
しかし廻りに砂しかないところに、どうしてこんなものが突如現れるのか、やっぱり不思議です。
オアシスはこんなふうに、360°砂の山に囲まれているのです。
ワカチナは近年、人気急上昇の観光地になりました。砂漠を売りにしたサンドバギーとサンドボードがヒットしたのです。
ということで、我らがチャーリーが宣伝していたツアーに参加するかどうか、そろそろ決めなければなりません。
サリーナは怖い話などが頭に残っているようで躊躇しています。結局時間的にも結構慌ただしくなるので、私たちはこれはパスし、のんびり遅めの昼食をとることにしました。
ペルーにはハッピーアワーといって飲み物が安くなる時間帯があります。この時がちょうどそうだったので、ダイキリをやってみました。そして本日のランチは、パルタ・レジェーナ(Palta Rellena)とアヒ・デ・ポリョ(Aji de Pollo)。
パルタはアボカドのことでレジェーナは詰め物。詰め物されたアボカド、つまりアボカド・サラダです。これ、アボカドが丸々一つ入っています。
もう一品のアヒは唐辛子、ポリョは鶏肉で、鶏肉の黄色唐辛子煮込み。ペルーの代表的な料理の一つで、ごはんと一緒に食べます。黄色唐辛子はふわっとした印象で辛くなく、優しい味付けです。
昼食休憩でしばしまったりしたあと、砂丘に登ってみました。
しかしこれ登るの、かなり大変です。
西にどこまでも延びる砂の山。
南に広がる砂丘。
近くに一台のサンドバギーカーがやってきました。実際に走っているのを見た感じでは、それほど恐ろしいというものでもなさそうですが、これは単なる移動中だからでしょうか。
そのうち車は高所まで上って行って停車し、どうやらサンドボードの準備を始めたようです。
彼らのサンドボードの様子は見られませんでしたが、私たちのすぐ近くを少年が二人滑って行きました。
一人はボードに腹這いになり、もう一人はおすわりしていました。ここは勾配が緩いですが、きついところだとかなりのスピードが出そうです。あとで実際にサンドボードをやったマークの感想を聞いてみると、ちょっと異次元の体験で楽しかったそうです。しかし身体はどこもかしこも砂まみれだって。
だいぶ陽が西に傾いてきました。
あ、ペルーでは太陽は南ではなく北の空にあります。ここは南半球ですからね。といっても緯度が低いため太陽高度が高く、いつも真上にあるような気がしますが。
日没が近づいてきました。砂山があるので計算値より実際の日没はかなり早いです。
向かいの山の斜面に人々がずらりと並んでいます。彼らも日没を鑑賞するためにあそこにいるのでしょうか。
太陽は強い光のまま彼方の砂丘の向こう側に消えました。快晴で雲一つないので、夕焼けも何もありません。あっけないほどの早さで、ただ太陽がなくなったという感じ。
今日はたいへん忙しい日でしたが、とても素晴らしい日になりました。バジェスタス諸島は最高に楽しいです。『貧乏人のガラパゴス』万歳です。そしてパラカス国立保護区の砂漠と海岸は美しく、ワカチナの砂漠は思った以上に魅力的でした。ロケーションが変わるたびに第一級の景色が現れる。ペルー、凄ご過ぎます!
さて、明日も凄いです。前半の山場です。ナスカの地上絵をセスナから見るのだ!!