1914-04

ナスカの地上絵

ペルー 4

開催日 2019年08月03日(土)晴れ
参加者 サリーナ/サイダー
総合評価 ★★★
難易度

サル(ナスカの地上絵)
サル(ナスカの地上絵)

コース紹介

世界遺産『ナスカの地上絵』を。オアシスの街ワカチナを出て砂漠と荒野を疾走し、ナスカライン展望台の鉄塔をかすめてセスナに飛び乗れば、くるくるシッポのサル、長い嘴のハチドリ、芸術的なクモなどが眼下に。一見の価値有り!

動画(05'11" 音声:一部にあり)

地図:GoogleマップgpxファイルGARMIN ConnectRide With GPS

発着地 累積距離 発着時刻  移動手段 備考
Huacachinaの宿
発07:55 徒歩 Hospedaje Claudia/$34/朝付
Wild Rover
Backpackers

[START]
着08:00
発08:45
シャトルバス シャトルバス/S50
Palpa [95km] 着10:40
発10:40
シャトルバス パルパの地上絵(世界遺産)/通過のみ
Nazca空港 [150km] 着11:50
発14:45
送迎車 ナスカの地上絵(世界遺産)飛行
/AeroNasca$80/空港税S30
Nazca [155km] 着14:55
発16:10
タクシー 昼食:Rico Pollo
Acueductos de Cantalloc [159km] 着16:20
発16:50
タクシー S10/Paredonesなど4カ所入場可
Los Paredones [163km] 着17:00
発17:15
タクシー インカ時代のの行政管理センター
Nazca [167km]
(START)
着17:25
発20:00
バス 休憩:Mom's Cafe
泊:車中
Arequipa (600km) 着06:00
Los Andes B&B
時差:UTC-5, JST-14 /日の出06:26、日の入17:57/為替レート:S1=33円=US$0.3

窓の外の砂の山窓の外の砂の山

朝、鳥の声で目覚めて窓の外を見ると・・・ グレーともカーキともつかない色がぼや〜っと一面を支配しています。

砂の山。

ワカチナの朝ワカチナの朝

ここは砂漠の中の街ワカチナ。周囲をぐるりと砂丘が取り巻いています。

今日はこの砂漠の街を出て、この旅の序盤のハイライトであるナスカ(Nazca)の地上絵を見に行きます。

ワカチナの朝の路上の景色ワカチナの朝の路上の景色

宿の屋上で砂漠を眺めながら朝ごはんをいただいたら、私たちがこの旅で利用しているPeru Hopのミーティング・ポイントになっているWild Rover Backpackersに向かいます。

Wild Rover BackpackersWild Rover Backpackers

私たちがWild Roverに着くと、次々と人々が集まってきました。今日はバスのグループが二つに分かれます。ナスカで地上絵フライトをする組としない組です。Peru Hopの標準コースはフライトをしない方なので、する人たちのために本隊とは別のシャトルバスが手配されます。

今ここに集まってきているのはフライトをする人々で、この中には私たちのバスの乗客以外に、ナスカの地上絵ツアーの客としてやってきた人もいるようです。

イカのブドウ畑イカのブドウ畑

やってきたシャトルバスは昨日までのバスより少し小さめのものでこれは満員となり、この旅で知り合ったマークは別の車に分乗しました。8時45分、定刻より15分遅れて私たちはナスカに向けて出発しました。

バスはイカ(Ica)のブドウ畑を抜けて進んで行きます。イカはペルーのワインの7割を生産する最大のワインの産地です。

荒野の村荒野の村

この周辺には緑がありますが、イカを出るとまた砂漠地帯になります。

そんな中に時折、こんなところにどうしてと思うような村が出現します。

砂漠の中の山砂漠の中の山

景色に少し変化が出てきました。砂漠は砂漠なのですが、その中にポコポコと小さな山がいくつも現れるようになったのです。

しかしこれも一時で、その後はまたほとんど平坦な砂漠が続くようになります。

行き交う車行き交う車

道はどこまでもまっすぐで障害物はありません。

しかし意外と交通量があり、大型のトラックがいるとなかなかスピードを上げられず、車が数珠繋ぎになってしまうこともしばしばです。

サンタクスル川付近サンタクスル川付近

山が近づいてきてサンタクルス川を渡るころになると、パルパ県に入ります。パルパはナスカとともに地上絵で世界遺産に登録されているところです。

車窓に突然畑が現れました。砂漠地帯のこのあたりでは、農作物は大きな川沿いでしか育たないので、ここぞとばかりに畑が作られているのです。

サンタクスルの山サンタクスルの山

道はついに平坦地から山に入ったようで、バスは結構な勾配の坂道を上って行きます。

このあたりが海岸沿いに広がる砂漠地帯と山とのちょうど境界のようです。

山の向こうにも山山の向こうにも山

ウインウインとうなり声を上げて上るバスですが、その前に大型のタンクローリーがいて追い抜くことができません。坂道を大型車が何台も連なってのろのろと登って行きます。そんなこんなで予定よりだいぶ遅れています。

道の先にはいくつもの山ひだが見えています。もうここから先は山しかないような雰囲気になってきました。

次の谷に下る次の谷に下る

いつの間にかピークを超えたようでバスはうなり声を発するのをやめ、右に左に大きく旋回しながら山を下って行きます。

向こう側に緑の谷が見えてきました。

グランデ川グランデ川

その谷まで下ると川を渡ります。この川、なんとその名もリオ・グランデ(Rio Grande)。

これは大きな川という意味なのですが、この時は乾期のまっただだ中で、川の水はほとんどひからびる寸前といったところでした。

グランデ川のグリーンベルトグランデ川のグリーンベルト

しかしそれでもその川沿いには、しっかり緑が延びています。

グランデ川の出口グランデ川の出口

このグリーンベルトが窄まって消えてなくなると、その先でグランデ川はパルパ川およびビスカス川と合流します。

小さな上りの向こう側でパルパの中心の村サン・アウグスティン(San Agustín)を通り抜け、バスは川沿いの平坦な道をどんどこ進んで行きます。

パルパの果物屋パルパの果物屋

パルパの周辺で多く見かける作物はサボテンとオレンジで、道端にはオレンジを山のように積んだ果物屋がたくさん並んでいます。

周辺から建物がなくなると、バスは荒野を行くようになります。これまでの砂漠とは異なり、地表は砂ではなく小石に覆われています。このあたりにパルパの地上絵があるのですが、残念ながら車窓からは発見できませんでした。パルパの地上絵はナスカのものとはだいぶ違って、子供がクレヨンで描いたような面白い絵です。

ナスカライン展望台ナスカライン展望台

小さな集落(Case la Pascana)が現れると、道の反対側に白い塀に囲まれたマリア・ライヒェ博物館(Museo Maria Reiche)が見え出します。マリア・ライヒェはナスカの地上絵の発見者とされるポール・コソック(Paul Kosok)の仕事を引き継ぎ、生涯を地上絵の研究に捧げた人です。

しばらく行くと車窓から地上絵の線らしきものが見えるようになります。アイレベルが低いのではっきりはしないのですが、これは間違いなく地上絵でしょう。そんな地表を眺めながら進むと道端に華奢な鉄塔が立っています。ライヒェが建てたナスカライン展望台です。写真は古い方で、この向かいに最近完成した新しい展望台もあります。この展望台からは地上絵の『木』と『手』を見ることができますが、私たちは上空から見るのでここはスルー。

ナチュラル・ミラドールナチュラル・ミラドール

鉄塔の展望台からナスカ方面に1.5kmほど行くと、小石がごろごろした荒野の中にこんもりした小さな丘が見えてきます。

これはナチュラル・ミラドールと呼ばれるもので、無料で登れ、ここからも地上絵が観察できるそうです。

ナスカ空港ナスカ空港

私たちのバスはナスカの街をすり抜け、予定より一時間近く遅れの11時50分にようやくナスカ空港に到着しました。

ナスカ空港ターミナルビルナスカ空港ターミナルビル

ナスカ空港は想像より遥かに小さく、航空会社が入る建物は掘建て小屋に毛が生えたようなものです。

アエロナスカのチェックイン・カウンターアエロナスカのチェックイン・カウンター

バスから降りた乗客がドドッーとアエロナスカのチェックイン・カウンターに押し寄せます。

体重を計り、荷物を預けて待機するもなかなか順番がやってきません。カウンターは大忙しなのでしばらく待って手があいた係員に何時頃になるか聞いてみると、何と一時間半も後とのこと。当然ながら機体数には限りがあるので、チエックインが遅れた人は次のフライトになってしまうのです。

私たちのセスナ私たちのセスナ

ちょうど昼飯時なので昼食をと思いましたが、このフライトは酔うことが多いと聞いたので、ここはビールだけでなんとか時間を潰します。

さて、ようやく私たちの番がやってきました。私たちのセスナは8人乗りで、乗員二名、乗客六名です。

地上絵飛行ルート図地上絵飛行ルート図

ナスカの地上絵はどれくらいの数があるのか知りませんが、有名どころはこの飛行で廻れるようです。

地図の下側が空港で、クジラから始まってほぼ時計回りに見ていきます。

機内のサイダーとサリーナ機内のサイダーとサリーナ

さて、いざ上空へ、ブゥWoo〜ン!

ナスカ上空ナスカ上空

私たちのセスナは見る見る高度を上げていきます。

下に見えるのはナスカ川で、周囲は小石がごろごろした荒野。ナスカの地上絵はこんな大地をキャンバスにして描かれたのです。

クジラクジラ

ヘッドフォンを通してガイドの声が聞こえてきます。下にクジラがいると言うのです。

ん〜ん、どこだ〜、よくわかんないなぁ。。 お、あれか〜 いた、いたよ、クジラ!

しかしペルー沖の海にクジラはいないのです。いったいどこから現れたの、このクジラは?

ところでこの写真を見て気が付かれた方も多いと思いますが、現場にはクジラの絵の線だけではなく、たくさんの他の線があり、なかなかぱっとこれがクジラというふうには見えないのです。

荒野の中の矢印荒野の中の矢印

まあそれはさておき、いきなりクジラ発見で大喜びの私たち。セスナは左右の乗客ができるだけ同じ条件で地上絵を見ることができるように、右に左にと機体を傾けながら飛んで行きます。

上のクジラの写真は絵が見やすいようにコントラストを調整しているので黒っぽいですが、実際はこの写真のような明るいグレーの大地が広がっています。ここに大きな矢印というか三角形のようなものが二つ映っているのがわかるでしょうか。これも地上絵です。

ナスカを突っ切るパンアメリカン・ハイウェイナスカを突っ切るパンアメリカン・ハイウェイ

私たちがバスで通ってきたパンアメリカン・ハイウェイ(Carretera Panamericana Sur)が下に見えます。

この道はまだナスカの地上絵が知られる前に造られたので、地上絵をブチッと突っ切ってしまっているそうです。ああ、もったいない。

宇宙飛行士宇宙飛行士

さて、次は宇宙飛行士だ〜

この絵は他の地上絵と異なり、山の斜面に描かれています。この絵を宇宙人だという人もいるようですね。

ナスカの地上絵は紀元前200年から紀元後800年のナスカ文化の時代に描かれたと考えられています。荒野の表面にある酸化した黒い小石を払いのけて、下の白い地面を表しただけという、とても簡単な方法で作られています。取り除かれる石の範囲は、幅1〜2m、深さ20〜30cm程度だそうです。

サルサル

ぐるぐるしっぽはお猿さん。

ところでこれらの絵はどれくらいの大きさなのでしょうか。この猿は全長55m、ハチドリは96m、コンドルは136m、フラミンゴは285mだそうです。かなり大きいですね。

ではこれらの絵はどうやって描かれたのでしょう。『種まき応用法』と『拡大法』が唱えられています。

イヌイヌ

犬だって。人に蹴飛ばされたのかな。。キャン!

ハチドリハチドリ

きれいな一筆書きのハチドリ。ペルーにはハチドリがたくさんいますが、最近の研究でこの絵のモチーフとなったハチドリはナスカ付近には生息しないことがわかったそうです。

『種まき応用法』は畑に種を蒔く時のようにみんなが並んで、歩幅によって距離を測定しながら絵を描くというものですが、この方法では50mほどの大きさが限界だそうです。そうすると100m近くあるこのハチドリはこの『種まき応用法』では描けなかったことになります。

クモクモ

芸術的なクモ!

そこで登場するのが『拡大法』です。『拡大法』はある大きさの原画を基準点から糸を引いて拡大するものですが、糸をピンと張れる限界は200m程度らしく、300m近くあるフラミンゴはどのようにして描かれたかまだわからないそうです。

コンドルコンドル

尾っぽが切れちゃったけど、コンドルと呼ばれているものです。

コンドルって嘴がこんなに長くないから、きっと別の鳥ですね、これは。

何?何?

ん〜〜ん、何じゃらホイ?

オウムオウム

幾何学的な羽根のオウム。ペリカンとも。

フラミンゴフラミンゴ

ちょっと見にくいですが、首がうねうねしたフラミンゴ。アルカトラズともサギとも言われています。くちばしが長〜〜いです。

これが本日見たものの中で最大の285mです。

展望台横の『木』と『手』展望台横の『木』と『手』

バスで横を通った展望台が見えてきました。『木』と『手』が見えます。

『手』は片側の指が四本しかありません。全体としてはヒヨコのように見えなくもないですね。『木』は海藻のようでもあります。

満足顔のサイダーとサリーナ満足顔のサイダーとサリーナ

まさかナスカの地上絵を自分の目で見られる日が来るとは思ってもいませんでした。

ちょっと感動。

カンタリョークの水道システムカンタリョークの水道システム

セスナが飛行場に戻る直前に、下に妙なものが見えました。これはカンタリョークの水道システム(Acueductos de Cantalloc)です。

地上絵と同じく、今から1,500年ほど前のナスカ文化によって建設されたものだそうです。

カンタリョークの水道システムその2カンタリョークの水道システムその2

この水道システムは、ナスカの街と周辺の畑に水を供給し、乾燥したこの地域で、綿、豆、ジャガイモなどの作物の栽培を可能にしました。

ナスカ上空ナスカ上空

30分少々のフライトを終え、ナスカ空港に戻ってきました。

いや〜、ナスカの地上絵、良かったです〜 やはり、神秘の世界です。

Rico PolloRico Pollo

空港からは送迎車でナスカの街中へ。

昼食がまだだったので、みなさんが薦めるRico Polloに入り、鳥のローストと野菜サラダのランチを。

水道システム入口の流れ水道システム入口の流れ

今日はこのあとアレキパにバスで向かうのですが、出発は19時なのでまだ時間があります。そこで空から見えたカンタリョークに行ってみることにしました。

カンタリョークまでは4kmほどなので、自転車があったらそれが一番なのですが、なかなかそうはいきません。仕方がないのでタクシーを探すも、これも見当たらず。白タクが二三台停まったのですが、50ソーレスなどととんでもない値段を吹っかけてきます。ようやく三台目で往復10ソーレスで折り合いがつきました。

puquiospuquios

10分ほどでカンタリョークに到着です。このあたりの水道システムは全部で46見つかっているそうですが、驚くことにこのうちの32が現在も稼働しているそうです。

水道水は地下数メートルのところを流れていますが、ここには35のpuquiosと呼ばれる螺旋状の換気井戸があります。

puquiosの縁に立つサイダーpuquiosの縁に立つサイダー

これらのpuquiosは、水道の清掃、保全、水の収集のために造られたと考えられています。

puquiosの中のサリーナpuquiosの中のサリーナ

puquiosには大小ありますが、おおむね直径10m程度です。

puquiosの中に立つサリーナpuquiosの中に立つサリーナ

puquiosの螺旋は石積みで、一段の高さは0.5〜2mほど。

急な螺旋急な螺旋

しかしこんなふうに急な螺旋もあります。

puquiosその2puquiosその2

これはちょっと大きめ。

puquiosその3puquiosその3

二連です。

山とサボテン山とサボテン

カンタリョークは山に囲まれていて、その間を流れるナスカ川沿いにあります。

サボテンサボテン

その横に植えられたサボテン。

サボテンは花が綺麗ですが、実もおいしいです。

ヤギヤギ

ここではヤギが放牧されていました。

パレドネスパレドネス

カンタリョークの見学を終えた私たちですが、まだ時間があります。

そこで近くにあるパレドネス(Los Paredones)に向かうことにしました。

パレドネス未修復ゾーンパレドネス未修復ゾーン

パレドネスはナスカ文化ではなく、もっとずっと時代が新しいインカ文明のもので、トゥパック・インカ・ユパンキ(Tupaq Inka Yupanki:在位1471〜1493)時代に、海岸と山の間の行政管理センターとして造られたものだそうです。

パレドネス修復ゾーンパレドネス修復ゾーン

この建築は、彫刻が施された石の基礎の上に長方形のアドベ(日干し煉瓦)を使って建てられています。

大きな台形の広場、管理棟、倉庫、兵舎、儀式またはサクリファイスの場所、望楼などから成り、これは同様の集落に共通する特徴だそうです。

さて、パレドネスの見学を終えたら、ナスカの街中に戻ります。白タクにはパレドネスを廻ってもらったお礼として、2ソーレスを加えて渡してあげました。

アレキパに向かうバスの待ち合わせ場所の Mom's Cafe には、早くも何組かがやってきていておしゃべりを楽しんでいました。私たちは昼食が遅かったので夕食はサンドイッチをテイクアウトすることにして、ビールでしばしまったり。

ナスカを出発する予定時刻の19時になりましたが、バスはやってきません。そのうちガイドのウォルターがどこからともなく現れ、イカから来るバスが遅れているので出発時刻は少し遅れると言います。なんだかんだで一時間ほど経ったところで、ようやくバスの準備が整い、乗車。このバスは昨日までのよりゆったりした座席のものでした。これからアレキパまで深夜走行で、10時間ぶっ続けで走るのです。あたし、夜行バスってマリ以来だから、もう四半世紀近く乗っていないのよね〜 どうなるかな。。

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