今回は走行距離100kmに挑戦です。私たちは100kmも走ることはほとんどありませんが、2年以上に及ぶコロナウイルス感染症の影響や、その他もろもろの事情でここ一二年で生活が激変したメンバーが多く、それぞれの持久力がどの程度あるか試してみることにしたのです。
しかしそうは言っても、私たちはあまりがんばらないことを信条としているので、コースは下り基調で上りがまったくと言っていいほどない荒川沿いにしました。このコースであれば初級者でも、ちょっとがんばれば100km走れそうだからです。
どこから参加してもOK、どこで離脱してもOKのこの企画の出発地点は、東武東上線の森林公園駅です。そこにやってきたのは、体育会系のシンチェンゾー、ロードバイクも駆るシュンシュン、そしてここのところまったく自転車に乗れていないサイダーの3人。
前日までの天気予報は晴れで最高気温は20°Cと良好に思えたのですが、当日これが急転、曇りで最高気温も17°Cに下がりました。朝の集合時刻には10°C程度しかなく、寒いくらいです。
森林公園駅から森林公園までの3kmは森林公園緑道を行きます。
この緑道には遊歩道と自転車道が整備されていて快適に進んで行きます。
森林公園緑道が終わると田畑の中を行くカントリーロードに入ります。
森林公園に接して小さな集落が現れました。
周囲の田畑はすっかり手入れが終わり、夏の作物の植え付けと田植えを待つばかりになっています。
この先で小さな丘越え。
今日のコースにはほとんど上りはありませんが、ここはその例外。もっとも、一漕ぎか二漕ぎで越えられる坂ですが。
この上りを終え、下りに入ると、すぐ先に紅白の花が。
始めは桃かと思いましたが、これはハナミズキでした。満開です。
森林公園が完全にうしろになり滑川町から熊谷市に入ると、細い用水路を渡ります。
ここは地形からすると谷戸のようです。荒川と外秩父山地の間の丘陵地帯である比企丘陵(ひききゅうりょう)の一部が谷戸となったものと考えられそうです。
荒川大橋の南詰までやってきました。ここで熊谷駅からやってきたマージコとタキスキーが合流。
レイナもここに来るはずなのですが、なぜかその姿はありません。なんとレイナは、入手したばかりの電動アシスト車のアシストが効かなくなるというトラブルに見舞われ、今日はドタキャン! あれ〜〜 レイナの新車、電動アシストで100km走れるかどうか、見たかったな〜
それはともかく、レイナを除いて全員揃ったところで、いざ、荒川100kmへGo!
荒川右岸の土手上の道を500mほど進むと『荒川右岸75.6k』のポストがあります。これは荒川河口まで75.6kmだということですが、これにここまでの12kmと右岸と左岸を行ったり来たりする距離や、若干の寄り道分などを加えると、今日はちょうど100kmになる計算です。このポストは数kmごとに置かれているので励みになります。
今日は100kmがんばりま〜す! のシュンシュン。
おいらは200km行くぜ! とやる気満々のシンチェンゾーは、飛ばす飛ばす。お〜い、みんな付いて行けないから、もうちょっとスピード落とせ〜
熊谷の荒川大橋から荒川河口の東京湾までは、荒川の土手や河川敷を利用した自転車道もしくは自転車道と言ってもよさそうな道があり、ほとんどストレスなく走ることができます。このあたりの土手上の道は正確には自転車道ではないのですが、ほとんど車が通らないので自転車道のようなものですね。
和田吉野川が荒川に流れ込むところにある玉作水門を通り、大芦橋を過ぎると、全長1,100 mあまりの日本最長の水管橋だという荒川水管橋をくぐります。
先頭のタキスキーはここのところずっと自転車に乗れておらず、2年ぶりの登場で、
今日は行けるところまで行きます〜
吉見総合運動公園を横目に進み、東松山鴻巣線の道路橋である御成橋が見えてくると、そこは川幅日本一(2,537m)のあたり。
御成橋の鴻巣側には川幅日本一を示す標柱が立っていますが、こちら側には何にもなく、土手からは河川敷にポツポツと生える木々が見えるだけです。
ここまでしんがりを務めているマージコは、最近は孫の世話を焼いてばかりいるせいか、すっかり爺さん気分になり、闘争心を失ってしまったのか、徐々に遅れてしまいます。
今日は孫を振り切って参加しました〜
ここまでは荒川の右岸の土手上を進んできましたが、御成橋を過ぎたところで河川敷へ下り、左岸へ向かいます。
このあたりの荒川の河川敷には田んぼが築かれていますが、その中を行く道路際にはきれいな菜の花が咲いています。
川というのは広くなったり狭くなったり、いろいろにその姿を変えるものですが、高尾橋でその下の流れを指差し、この川はなに?と聞くと、我らがシンチェンゾーはわからないと言います。
多くの人が知る荒川の姿は下流域の幅がとても広いもので、ここの流れはそれとは比較にならないほど狭く、僅かに20mほどしかないのです。今日の最終到着地の荒川河口とこことを比べれば、この川が何なのかわからないのも頷けようというものです。
高尾橋を渡るとすぐ、北本水辺プラザ公園があります。ここでは、先ほど高尾橋で眺めた荒川の流れをより良く観察できます。
この公園でレイナの電動アシスト自転車を試乗させてもらおうと思ったのですが、それはまたの機会に。試乗会が開催できなかったので、近くで予定していた昼食にはまだ早すぎるので、先へ進むことにします。
ここからもしばらく河川敷を進みますが、北本のあたりは自転車道なのか一般道なのかよくわからない道となり、中には畑の中を行く一間に満たないような道も出てきます。
この辺り、私は好きです。
その細い道の周りは黄色い菜の花でいっぱい。
シンチェンゾーとシュンシュンが見つめる先には、ブーンという音とともに小型の飛行機が。
そこはホンダエアポートで、セスナのような小型機やグライダーが並んでいます。
ここは時々上空できれいな落下傘がパッ、パッと開くのですが、この時は見られませんでした。残念。
都心の桜はもうすっかり散ってしまいましたが、このあたりではまだ八重桜がたくさん咲いています。
40km走ると榎本牧場です。時は11時。午前中の休憩をするにはちょうどいい時刻でしょう。
ということで、ここでアイスクリーム休憩を。
シュンシュンは当然のようにダブルをカップで。サイダーはいつものようにシングルをコーンで。
おいしいアイスクリームで一服したら昼飯処を探しつつ、荒川沿いを南下します。
荒川沿いは自転車道が整備されているので初心者でも安心して走れ、近くに鉄道が通っているためエスケープもしやすいのですが、川を離れないと食堂やコンビニエンスストアがないというのが欠点といえば欠点でしょうか。
昼食のために川を離れてあまり遠くまで行きたくないので、アイスクリーム休憩をしたばかりですが、次の橋、開平橋の上尾側にカフェや食堂が二三軒あったのを思い出したので、その中の一軒の魚系の食堂に腰を落ち着けました。
ここで多くの面子は海鮮丼系を、身体がでかいシンチェンゾーはそれに鯵フライを追加、そしてシュンシュンがオーダーしたのは、海鮮丼の他に揚げ物とあら煮が付くというもの凄いヴォリュームの漁師飯で、これは軽く3人前はあろうかというもの。ごちそうさま!
ちょうど食事中にレイナから連絡があり、アシストが効かなくなった原因はコントローラーと駆動部を結ぶケーブルが緩んだだけだったそうで、無事に直ったそうです。よかったねぇ〜
ちょっと食べ過ぎのお腹を抱えて開平橋を出ると、ほどなくさいたま市に入り、上江橋をくぐって川越線・埼京線の線路を渡ります。ここを東へ行くとすぐに指扇駅で、このあたりから荒川の左岸は土手際まで都市が迫って来るようになります。
その一番端っこにある大宮武蔵野高等学校あたりを行くマージコ。今年のGWは孫の初節句で忙しいそうな。(笑)
次の橋は治水橋です。このあとの荒川左岸は少し走り難い区間となるので、ここで右岸へ渡ります。その治水橋から見た荒川は、ずいぶんと川幅が広がってきています。
治水橋を渡った先の荒川右岸は川越市かと思いましたが、橋の袂はさいたま市でした。川越市は、かつて荒川だった三日月湖のような『びん沼川』より西ですね。
さいたま市の南の富士見市に突入。この富士見市の隣は『ふじみ野市』だからややこしい! 隣同士でかなり似た名前ってどうよ。
河川敷の利用方法は場所によっていろいろですが、このあたりはやたらにゴルフ場が多いです。ちなみに先ほど通った川幅日本一の近く、御成橋周辺の河川敷内には民家もあります。
ようやく荒川の流れがまともに見え出しました。ここは大きなうねりでのびやか。
風が強くなってきました。つい先日ツール・ド・沖縄のコースをトレースしてきたシンチェンゾーが、風よけになって先頭で牽きます。このあたりは川向こうに、武蔵浦和から与野、大宮あたりにかけての超高層ビル群が見えます。
向かい風でバテバテになりつつも幸魂大橋を横目に走っていると、コンニチワーという声が。なんとコムランが午前中の仕事をやっつけて駆けつけてくれたのでした。
ということで、ここで全員集合の写真を。左から、そろそろ上がろうかなのマージコ、やってきたばかりのコムラン、調子が今一つ戻らないタキスキー、がっつり昼飯を食って腹が重いシュンシュン、ここまで風よけごくろうさんのシンチェンゾー、カメラはいつものサイダー。
ここからはロードバイクに股がるコムランに牽いてもらって、朝霞水門で新河岸川を渡ります。
和光市をかすめて東京都の板橋区に入り、河川敷に落っこちると土手には段々ツツジが。
ここでマージコが、孫が待っているのでそろそろ離脱しまーす、と言うので、浮間公園の少し先のファミリーレストランでみんなで午後の休憩をとることにしました。
このファミリーレストランではみなさん、なんとかパフェとかを頼まれてちょっとびっくり!
まあそれはともかく、ゆっくり落ち着いて休憩したら100kmの続きを。ここまで70kmなのであと30kmです。マージコはファミリーレストランを出たところから帰宅し、トータル75kmだったそう。まずまずですね。その後すぐにタキスキーも離脱し、4人で荒川河口を目指します。
湘南新宿ラインと東北本線の線路橋をくぐると荒川赤羽緑地で、この時期は芝桜が満開。白い文字も芝桜で、『KITA CITY』(北区)と書かれています。
荒川赤羽緑地の先の新荒川大橋をくぐると、荒川と隅田川の間に設けられている岩渕水門が見えてきます。
手前のオレンジ色の水門は古い方で、現在はこれに替わり奥に見える水色のそれが使用されています。
岩渕水門を過ぎると先に東京スカイツリーが見えてきました。土手の右側を流れているのが隅田川で、ここは左を流れる荒川も見えるので、ちょっと面白いです。
かつては隅田川が荒川と呼ばれていましたが、治水のため現在の荒川が開削されて以降、この流れは隅田川と改称されたのです。現在の荒川である開削された新しい水路は、当時は荒川放水路という名で呼ばれていました。
ここまで牽いてくれたコムランは鹿浜橋から帰宅。残る3人で葛西臨海公園を目指します。
鹿浜橋から下流は橋の数がもの凄く多く、土手上の道はこれらにぶつかって通り抜けられないので、河川敷に下ります。
扇大橋と新交通システムの舎人ライナーの橋梁が見えてきました。
このあたりの荒川は大きなゆったりした流れ。
ここに来てシュンシュンは調子がおかしくなり、すこしずつ遅れるようになってきてしまいました。シュンシュンは普段はブロンプトンでもバリバリ行き、ロードバイクなら150kmオーバーも走る実力者なのですが、ハンガーノックのような症状です。しかし先ほどパフェを食べたし、どうしたのでしょう。やはり昼飯を食べ過ぎたんじゃないかしら。。。
地下鉄千代田線、常磐線、つくばエクスプレス線の線路橋のすぐ手前にある『虹の広場』に到着。
ここはチューリップをはじめとするきれいな花々が植えられた花壇が素敵。
京成押上線の線路橋をくぐり抜けると、荒川の対岸の首都高速中央環状線に二連の斜張橋『かつしかハープ橋』が見え出します。横から見たのでは分かりませんが、この平面形はS字になっており、とても珍しい造りです。
このあと、平井大橋と総武線の線路橋をくぐり抜けたところで、なんとシュンシュンが離脱。あれ〜〜〜!
100kmにあとちょっとというところで、残ったのはシンチェンゾーとサイダーだけになってしまいました。
トイレ休憩のため土手上に並ぶ小松川千本桜がある公園に上って一休みすると、荒川河口まで残す距離は僅かに7km。
小松川公園の先で荒川ロックゲートをかすめて進むと、先にまたしても二連の斜張橋が見えてきました。
20世紀の終わり頃から21世紀の初頭にかけて、斜張橋は大流行りだったのです。
清砂大橋です。
あの橋を渡ると、ゴールの荒川河口、葛西臨海公園まではすぐ。
清砂大橋は大橋の名にふさわしく、その全長は1,300mを超えます。
こんな橋は上るのもちょっと大変で、えっこらよっこら。ここが本日最後の試練と言えるでしょう。
対岸に巨大な観覧車が見えてきました。あそこが本日の終着地、走行100km地点の葛西臨海公園です。
そうそう、この川幅、どうです、凄いですね〜 だいたいですがここは500mくらいありますぞ〜
清砂大橋を渡り『健康の道』に入ります。この健康の道は歩行者と自転車のためのもので、葛西臨海公園まで続いています。
健康の道の横を流れているのは荒川だと思うでしょう。ところがこれは中川なのです。荒川放水路を開削した際、中川の河道は分断され、その上流部の流れを荒川と並走させる形で東京湾へ流したのです。中川の向こうに首都高速中央環状線が見えますが、その柱が立っている背割堤のさらに向こう側が荒川です。
健康の道を500mほど南下すると背割堤がなくなり、荒川と中川は合流します。
この背割堤の先端部分に『荒川0km地点』というものがあります。そこはかつて荒川の河口とされていた場所でしたが、東京湾の埋め立てにともない荒川も延びていったため、現在は河口ではなくなったのですが、荒川の距離の算定基準として今日も使われている地点です。これまでポストに何キロとあったのはここからの距離です。
現在の法令上の荒川はこの先も続いており、東京湾の中まで続くそうです。実は中川も同様で、これら二つの川の境は事実上存在しないのですが、中川もずっと先まで続いていることになっています。
いよいよ荒川の河口に近づきました。荒川のもっとも河口に近いところに架かる橋は国道357号(東京湾岸道路)の荒川河口橋(あらかわかこうきょう)と京葉線の線路橋です。
ん〜ん、ぐちゃぐちゃだね〜
これらの橋をくぐり抜け、荒川の河口に到着! やった〜〜〜〜 100km達成です。
シンチェンゾーとサイダーのすぐ先に見えるのは『西なぎさ』。
右に見える陸地は東京ゲートブリッジが架かる江東区の若洲で、法令上の荒川はあそこまで続いています。
葛西臨海公園に入り、大観覧車の横をかすめ、最寄り駅の西葛西駅へ向かいます。すると空からポツポツと冷たいものが。途中降られなくて良かった〜
今日はなんとか100km走り切ることができましたが、体力の衰えを感じずにはいられない一日ともなりました。精進して、なんとか元の体力を取り戻さないとね。