幕張駅
秋も深まり関東平野にも紅葉が降りてきました。その紅葉を見に行くのもいいけれど、今年はすでに強烈な紅葉を見てしまったので、近場にありながら雑踏から逃れられる静かな道を走ることにしました。
やってきたのは千葉県の幕張駅。
幕張駅近くの花見川
幕張といえば幕張メッセがあり、モダンな建物が並ぶ湾岸の華やかな地帯です。そんな幕張の中に、海から少し内陸に入れば自然豊かな緑が残る花見川が流れています。
今回はその花見川を遡り、印旛沼をかすめて手賀沼に出るコースを辿ります。
花見川自転車道
JR総武線の幕張駅から東に数百m進むと花見川の流れに出会います。
この花見川はここから3kmほど下流で東京湾に注ぎ、上流は印旛沼へと続きます。
花見川自転車道を北上
花見川の左岸には自転車道が設えられているので、小さな橋を渡って左岸へ。
自転車道に入り、初参加のミルミル先頭にどんどこ。
花見川河川敷
最初は川のすぐ横を行きますが、そのうち道と川との間に小さな畑が現れるようになります。
対岸には釣り人の姿も。
クッキーとレナール
『都会の中にこんな静かなところがあるんですねぇ~』 と感心するクッキー。
最後尾を守るは久々に登場のレナール。
立派な木
自転車道から川までの距離がさらに大きくなり、木々の中を行くようになります。
中にはこんな立派な木も。
森
そして周囲はいつしか森に。
花島橋
20分ほど走ると欄干の低い花島橋に出ます。
対岸のこんもりした森は花島公園です。
砂利道
花島橋から先の自転車道は砂利道になります。砂利道とはいっても固く締まっているので、ロードレーサーの極細タイヤでなければ、走るのにはあまり問題ありません。
対岸の森が近付いてきて、このあたりはとてもいい雰囲気。
秘境
どこか山奥の秘境にやってきたかのようです。
ここでカワセミ発見! しかし残念ながらこれは写真には治まらず。
景色に見とれる面々
『ここはなかなかいいねぇ~』 と景色に見とれるサイダーと他の面々。
続く秘境
カワセミのあとも秘境は続きます。
『いいところだけど、ダートはキライ!』 とレナールは遅れ気味。そして、
『ワタシもダートはちょっとニガテなんです。』 とクッキーもどんどん遅れていく。
森の中を行く
一方、先頭のサイダーに続くミルミル、マサちゃん、サリーナは砂利道なんのそので、ガリガリ行きます。
弁天橋
赤いアーチ橋の弁天橋が見えてきました。すると周囲の森が退き、空が開きます。ここからは自転車道を離れ花見川右岸の一般道へ出るのですが一般的ですが、先頭サイダーはそのまま左岸をどんどこ進んで行きます。
『お~い、まってくれ~』 とうしろで叫ぶクッキーとレナール。
左岸の土手
一般的に弁天橋から右岸に渡るにはそれなりの理由があります。それは左岸は、弁天橋の先の小さな橋を渡るとこんなことになってしまうからです。自転車道は潰え、土手上は砂利も敷かれていない完全に土の道になります。しかし両側に菊の花が咲いていて、きれいではあります。
この土手道も京成本線に突き当たっておしまいに。ちょっとだけ川を離れてR296に出、水資源機構の横から再び川沿いの自転車道に入ります。ちなみに花見川はこのあたりから新川と名を変えます。
新川沿いの桜並木
新川になった途端に川辺の風景も変わったように見えます。新川側はなにかときれいに整備されているように伺えます。
こちら側はきれいな桜並木で、対岸にはうっすらと紅葉してきた八千代総合運動公園の木々が続いています。
うしろに八千代台
超高層マンションが建つ八千代台を眺めながら進み、両岸に分れた八千代総合運動公園を繋ぐ歩行者橋の展望台で一休み。
『風が出てきて進まなくなってきましたぁ~』 と呻きつつ走るクッキー。
このあたりは新川の両岸に自転車道がありますが、そのまま左岸を行くとほどなく、
道の駅やちよ
道の駅やちよ(八千代ふるさとステーション)が現れます。
ここでおやつ休憩。梨や栗といった季節限定のアイスクリームを頬張り、元気回復。
新川を東へ
道の駅やちよの先で新川は大きく向きを変え、東へ向かいます。こうなると印旛沼まではもうすぐです。このあたりはヘラ鮒釣りが盛んのようで、釣り人がたくさん糸を垂らしています。
ビュービューの風をものともせず進むはビジターのマサちゃん。
小川を跨ぐ小橋
新川に注ぐ小さな川に架かる橋に差し掛かりました。
『どれどれ、なにかいるかな。』 と川を覗き込む面々。
小川
この川はなかなかいい表情をしています。
『あ~、鯉がいる~』
船戸大橋
この小川を渡るとほどなく、印旛沼です。
自転車道はさらに続き、沼を廻って利根川に抜けますが、私たちはここでそれを離脱、船戸大橋を渡って印旛沼公園に向かいます。
船戸大橋から見る印旛沼
広い印旛沼。
サザンカ
船戸大橋を渡ってすぐ右手の高台が印旛沼公園です。
そのアプローチ道にはサザンカが赤い花を付けています。
印旛沼公園の空堀
印旛沼公園は鎌倉時代に築かれた師戸城の跡であり、当時の堀が空堀として残されています。
印旛沼公園から見る印旛沼
公園の先端は展望台になっていて、印旛沼が一望に。
ん~ん、ここでお弁当も良さそう。
師戸川沿いの田んぼの縁を行く
印旛沼公園の足元で印旛沼に注ぐ小さな流れは師戸川。
ここからしばらくはこの師戸川沿いにできた田んぼの縁を行きます。
師戸川
航空写真で見るとよくわかりますが、このあたりにはきれいな谷津が数kmに渡り形成されています。
師戸川はその谷津の真ん中を流れています。
谷津を行く
このあたりはとにかく自然豊かでそれだけでも充分なのですが、それに加え、国の重要文化財に指定されている茅葺き屋根の古いお寺が残っているので、それらを見学しに向かいます。
泉福寺薬師堂
その最初は室町時代後期に建てられた泉福寺薬師堂。
方三間、寄棟造の端正な佇まいで、境内のイチョウとカエデがいい色になっています。
谷津を渡る
ちなみにこうしたお寺は谷津の上の高台に建っているので、そこに行くまでにはちょっとばかりヘコヘコしなければなりません。
そして下って、また元の谷津を進みます。
二番芽が出た田んぼ
田んぼの稲はすっかり刈り取られていますが、そのあと二番目の芽が吹き、青々としたところもあります。
この時期は田んぼ仕事はもうおしまいなので、道には農作業車さえも通らず、ジオポタ独占状態がどこまでも続きます。
山を上る
田んぼの横はこんもりした山です。
その山を駆け上ると、
栄福寺薬師堂
二番目の栄福寺薬師堂に到着。室町時代後期に建てられたのは先の泉福寺薬師堂と同じですが、ここは1472年建立と建築年がはっきりしており、建立年代の明確なものとしては千葉県最古の建造物だそうです。
方三間、寄棟造も泉福寺薬師堂と同じですが、江戸時代中期に正面に向拝(ごはい)一間が加えられました。
栄福寺薬師堂その2
軒先のディテイルが美しい。
谷津の奥へ
栄福寺から下ってさらに師戸川の上流に向かいます。
進行方向右手の視界が開けてきました。この右手側は千葉ニュータウンとして開発され、すでに山が削り取られているのです。
奥に延びる谷津
しかし左手は、かろうじて谷津の形状を保っています。
田んぼの縁を進む三人
後続の三人がなかなかやってきません。誰だかが段差でコケたんだそうな。この道は車も人も通らず快適なのですが、路面は少々荒れているので注意を。
師戸川沿いの谷津がおしまいになるあたりで、いったんr190に出、昼食をとったあと、午後の部開始です。
草深の森
田んぼの反対側にあるのは『草深の森』。
この森は市が地権者から借り受け開放している自然公園です。千葉ニュータウンが開発される前のこのあたりは、こうした森ばかりだったわけですね。ここはかなりワイルドで、ちょっと楽しい。
結縁寺の砂利道
草深の森を抜けると、結縁寺へ続く谷津に入ります。
ここの谷津は師戸川沿いのそれより狭く、森の奥に延びる一つ一つの谷津がはっきり認識できます。
池の先の結縁寺
結縁寺はこのあたりの地名であると同時にお寺の名称でもあります。
そのお寺は谷津の突き当たりにある池の先にひっそりと建っています。
結縁寺参道のお地蔵様
お寺の参道の入口の両側には六角形の石柱が立ち、それぞれの面にお地蔵様が彫られています。
石柱にお地蔵様というこの形態はちょっと珍しいように思います。
造成中のニュータウン
結縁寺で谷津巡りはおしまい。ニュータウンを抜けて手賀沼へ向かいます。
ここは千葉ニュータウン中央駅と印西牧の原駅のちょうど中間当たり。北総線の北側は今まさに造成工事の真っ盛り。
あやしげな道
その工事中のゾーンを通り抜け、田んぼから小高い丘に上って、民家と民家の間の怪しげな道を進んで行くと、
宝珠院境内
突然、お寺の境内に出た。普通お寺は正面からアプローチするものですが、ここは横の作業通路のようなところから出てきました。
大きな御神木のような木が立っています。立て札には『観音杉』とあります。神社では御神木というけれど、お寺でこうしたものの一般名称はあるのかな。
宝珠院観音堂
ここは宝珠院観音堂。これまで見てきたものと同様、方三間、寄棟造で室町時代後期に建てられたものです。この建物は光堂とも呼ばれ、内部の須弥壇や来迎柱、天井の一部に美しい色彩装飾が施されているそうです。
お堂の正面には急勾配の石の階段がありますが、それは遥か下にある田んぼからアプローチするもので、集落からはいったん急な階段を下って、この正面の石段を登り返すという不思議な構造になっています。
旧手賀教会堂へ
ということで、その階段を自転車を担いで降り、田んぼの中に出ます。
これでお寺巡りは終了ですが、手賀沼の近くに茅葺きの建物がもう一軒あるので、ついでに寄ってみることにします。
旧手賀教会堂
またまたへこへこと丘を上り、しばらく行くと道端にその建物は建っていました。旧手賀教会堂です。この建物は民家を増改築して、1881年(明治14年)に日本ハリストス正教会手賀正教会の教会堂とされたものだそうです。
元は民家だったこともあり、その外観からはまったく教会であることがわかりません。この時は開館時間外で見学できませんでしたが、内部には聖画などが飾られているようです。
手賀城址から手賀沼を見る
旧手賀教会堂のすぐ近くには手賀城址があります。
ここからは手賀沼が遠くに見渡せます。
手賀沼
あちこち見歩いていたら、すっかり時間が経ってしまっていて、日没時刻が近付いてきてしまいました。
手賀城址からかけ下り、急いで手賀沼へ向かいます。
手賀沼自転車道
手賀沼の南岸には自転車道があります。これは歩行者と共用ですが、ゾーンがはっきり分れている上、それぞれ充分広いので、とても走りやすい。
ここまで砂利道やアップダウンがあちこちにあり少々きつかったのですが、この自転車道は快適でスイスイ。
手賀大橋
東西に長い手賀沼の中央に架かるのが手賀大橋。
あの橋を渡ると本日の終着地、我孫子駅です。
手賀大橋
すっかり日が沈んだころその手賀大橋を渡り、我孫子駅へまっしぐら。
この日の前半の花見川沿いの自転車道は、都会の喧噪を忘れさせてくれるような、まるで秘境のようなところもあって、なかなか気持ち良かった。ここは是非砂利道の自転車道を行って、このきれいな景色を楽しんでほしいと思います。
中盤の師戸川から結縁寺にかけての谷津巡りは、ほとんど自転車道といってもいいほど交通がなくて快適です。茅葺きのお寺はその中のアクセントにちょうどいいでしょう。ただし、地道と短いけれど急な坂があちこちにありますから、そうしたところはゆっくりのんびりどうぞ。
終盤の手賀沼の自転車道は快走路で、ちょっとスピードを出して走ってもOK。ここで中盤の鬱憤を晴らせますね。
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