小手指駅南口駅前
梅雨に入りましたが運良くこの週末のお天気は晴れ。そこでトトロに遭いに行くことにしました。サツキがバス停でねこバスを待つトトロと遭遇したのがちょうど今頃の季節でしょう。やってきたのはトトロがこの辺りに棲んでいるらしい、埼玉県所沢市の小手指駅。駅前にはタワーマンションが立っていますね。ん〜、こんなところに本当にトトロは棲んでるんじゃろか。
しかし駅前を出て数百mも進めば、周囲は畑とこんもりした林になります。(TOP写真)
小手指原古戦場の碑から白旗塚へ
このあたりはかつては『小手指ヶ原』と呼ばれていたようで、度々合戦が繰り広げられていたとか。その中でも、1333年に新田義貞が鎌倉幕府軍と戦った『小手指ヶ原の戦い』が有名です。この戦いの後、鎌倉幕府は滅亡したのです。
『小手指原古戦場の碑』が立つ角を入ると、その先にこんもりした塚が見えてきます。
白旗塚
これは白旗塚といい、小手指ヶ原の戦いの折に新田義貞が源氏のシンボルである白旗を掲げたところと伝わります。
白旗塚内部
その白旗塚を覗いてみましょう。
木々に覆われたこの塚へは、頭を低くしてトンネル状になった木々の間を行きます。中はかなり暗く、外からではどのようになっているのか見えません。
映画『となりのトトロ』の中で、ある日メイちゃんが、小トトロと中トトロを追いかけて木のトンネルに入って行くシーンがありますね。この塚の入口がそれにちょっと似ています。写真は入口から入ってスペースが広がったところなので、ちょっと雰囲気は伝わりにくいですが、奥に向かって坂道が延びており、こんもりした塚になっていることがわかると思います。あの塚の上のようなところに大トトロはいたのでしたね。
白旗塚から上を眺める
塚の上まではあっという間ですが、そこには『白旗塚』と書かれた石版と小さなほこらがあります。そして上を見上げれば、巨大な木々が天を覆っています。
トトロの住処には巨大な楠があり、また水天宮のほこらがあったのを覚えているでしょうか。私たちはもう大人になってしまったのでトトロには遭えないですが、小さな子供が一人ここへやって来たら、トトロが現れるかもしれません。
白旗塚からトトロの森へ
塚森でトトロの気配を感じたら、今度は正真正銘の『トトロの森』へ向かいます。
茶畑の間を行く
この辺りは狭山丘陵と呼ばれるところでもあり、狭山茶の生産が盛んで、あちこちで茶畑が見られます。
珍しいことに桑の畑がありました。桑といえばお蚕さんですが、このあたりではまだ養蚕がされているのでしょうか。
トトロの森32号地
道がちょっとした森に差し掛かると、そこに『トトロの森32号地』の案内板が立っています。
『トトロの森』は、映画『となりのトトロ』の舞台の一つといわれる狭山丘陵の自然を守るために、1990年からナショナル・トラスト活動により森を少しずつ買い取ったもので、現在その数はなんと59ヶ所にまで広がっています。
トトロの森の間を行く
こうした森と森を繋いで走ります。
トトロの森1号地を行くユッキーとコムラン
ここは始めてトトロの森になったところ。つまり『トトロの森1号地』です。
ここで少し森の中を散策してみました。1号地周辺はその後も森の買い取りが進み、かなり広大な森となっていますが、トラストやボランティアの方々の努力で、きれいに整備されています。写真はメインの広い道ですが、ここから人一人がようやく通れるような道が森の奥へ続いています。
トトロの森1号地
こんなふうな。
ここを行くとトトロに遭えるかも。
森の中の畑
森の中に畑や神社といったものもあります。
この森ではうぐいすのヘタッピィな鳴き声があちこちから響いてきます。トトロの鳴き声は・・・
狭山湖へ上る
トトロの森1号地の散策を終えたら山から下り、狭山湖へ上ります。
狭山湖は東京の水瓶として1934年(昭和9年)に完成した人造湖で、長さが700mもある巨大な堤防の上まではちょっとした上りで、へーこら。
狭山湖
トンガリ帽子の取水塔。空気が澄んでいればここからは富士山が見えるのですが、この日はちょっと残念。
快晴のこの日、気温はかなり高くなりそうで、朝の10時でもかなり暑さを感じます。しかしここまで森がたくさんあり、意外と涼しく進んで来られました。
多摩湖自転車道を行くコムラン
狭山湖の周辺には『多摩湖自転車道』の通称で呼ばれる保谷狭山自然公園自転車道線が通っています。この道の上は木々が覆っていて、これまた涼しいです。
かぶと橋
この多摩湖自転車道を進んで行くとコースの西の端で道は大きくカーブします。このカーブのところで自転車道を降り、『武蔵野の路』に入るのですが、うっかり自転車道をそのまま行ってしまいました。
戻ってやり直し。ここの入口の目印はカブトムシが乗った『かぶと橋』です。
武蔵野の路を行くミルミル
『武蔵野の路』は東京を周回する270kmに及ぶ散策路で、このあたりは多摩湖コースとなっています。
武蔵野の路はそれなりに整備されていますがそこから枝分かれした道に入ると、ユッキー曰く『スーパー・サイダー道だ〜』 そこの様子は写真を撮るどころではなかったのでお見せ出来ませんが、とにかく自転車はドロドロ!(笑)
横田トンネル
ともかく、なんとか下界に下りr55所沢武蔵村山立川線に出ると、そこに奇妙なトンネルがぽっかり口を開けています。
『これはなんですか〜』と、ここは始めてのレイナ。
トンネル内の様子
このトンネルは、先ほど通った狭山湖と対になる多摩湖の建設のための資材運搬と導水管工事のために造られた軽便鉄道の跡です。
多摩湖の水はここから約8km西の羽村取水堰から運ばれています。そのルートは現在、野山北公園自転車道となっていて、このトンネルもその一部です。
野山北公園自転車道
トンネルを抜けるともう一つトンネルがあり、そのトンネルを抜けるとさらにその先にもトンネルがあります。
トンネルを抜けた先の森
結局ここのトンネルは横田トンネル、赤堀トンネル、御岳トンネル、赤坂トンネルと4つありました。この4本のトンネルを抜けた先は、何だか恐ろしいほどの森で、みんな『ここはどこ、私はだれ?』状態です。(笑)
実はこの先にも5号隧道というものがあるのですが、この日は数日前の雨で足下が悪かったので、これはパスしました。5号隧道はこれまでのトンネルと違って通行出来ず、入口がガードされています。
水天宮から多摩湖自転車道へ向かう
軽便鉄道トンネルを楽しんだら、水天宮まで下ってそこから再び多摩湖自転車道に上ります。
このあたりはどこもかしこもトトロがいそうなところです。
多摩湖自転車道を行くユッキー
湖というのは大抵その土地で一番低いところにあるものですが、人工的に造られた多摩湖は高いところにあり、当然その周囲に付けられた自転車道も高いところにあるので、上るのに一苦労。
しかし自転車道に入ってしまえばその先はほぼ平坦になります。
多摩湖
多摩湖に到着。
多摩湖は先ほど見た狭山湖と瓜二つのそっくりさんですが、取水塔が丸い帽子に替わり、西に西武球場の白いドームが見える点が異なります。
ビハニ
多摩湖でマージコが合流し、昼飯処へ向かいます。この辺りにくると大抵昼食は武蔵野うどんになってしまうので、今日は趣向を変えてインド・ネパール料理にしました。
香辛料が苦手なユッキーは日本の焼きそばを、今日はカレーじゃないかなというミルミルはチャーハンを選択。ワタシはサグ・マトンカレーをいただきました。とにかくみんな食べるものがあって良かったです。ここのカレーは本格的でおいしかったですよ〜
狭山公園
おいしいカレーで満腹になったら午後の部開始です。午後の部もしばらくはトトロがいそうな狭山丘陵を巡ります。
まずは多摩湖のすぐ東にある狭山公園を通り抜けます。この公園は20ha以上あり、その中には雑木林や池があり、なかなか快適です。
鳩峰公園
狭山公園を抜けたら西武遊園地をかすめ、ちょっと上って所沢市南部浄水場の横から森の中に入って行きます。
するとそこは鳩峰公園で、道はダートに。
トトロの森2号地
この南側には『トトロの森2号地』があり、ピクニックテーブルが設えられていました。
久米水天宮
この道も足下が悪いのでゆっくり自転車を押して進んで行くと、いつしか道は下りになり、前が明るくなるとそこは久米水天宮で、この先で一気に下界に下ります。
八国山緑地の上り
せっかく下界に下りましたが、ここからは八国山緑地に入ります。八国『山』なので上りです。メインの入口からはスロープで上れますが、私たちが入った北東の入口は階段なので、自転車をちょっと押し上げなければなりません。
この八国山緑地は『となりのトトロ』のメイとサツキのお母さんが入院した病院がある七国山のモデルとも言われており、かつて結核の治療をしていた病院がこのすぐ横に立っています。そんなわけでメイとサツキのお母さんの病気は結核であったのではないかとも考えられているようです。
八国山を行くマージコ
なんとか階段ゾーンを押し上げ切ると、あとは若干のアップダウンはあるもののほぼ平坦になります。
八国山を行くユッキー、コムラン、ミルミル
八国山緑地のメインルートはこのような広さの道であまり不安なく進んで行きますが、枝道もたくさんあり、それらの中には獣道のようなものもあります。私たちの中にはそんな獣道みたいなものを見ると、ついついそっちへ行ってしまうものがあるので困ったものです。(笑)
ちなみにこの八国山緑地には将軍塚があります。これは白旗塚のところで述べた戦の際に、新田義貞が陣を置いたところと伝えられています。
北川沿いの紫陽花
八国山緑地を下りたら次はそのすぐ南に位置する北山公園へ向かいます。
北川の岸にはかなりビビッドな色合いの紫陽花が咲いています。
アイスクリーム屋さん
今日はかなり暑く、天気予報では31°Cまで上がるといいます。そろそろそれくらいの気温になったでしょうか。
アイスクリーム食べたいよね〜、どこかにコンビニないかな〜と言い合っていると、なんとなんと、目の前にキッチン・カーならぬジェラート・カーが停まっているではないですか。
お〜、なんたる偶然。できすぎ〜!
北山公園と八国山緑地
北山公園の花菖蒲
ジェラートで体を冷やしたら、北山公園に入ります。公園の向こう側に見えるのが先ほどまでいた八国山緑地。
この時期の北山公園は花菖蒲がきれいなのですが、あれっ、今年はもうおしまい? 園の南側の入口を入ったところの花菖蒲はほとんどが咲き終わっています。しかし東へ進んで行くと、今がちょうど見頃のゾーンがありました。
白い花菖蒲
真っ白な花菖蒲!
アナベル
白い紫陽花はアメリカ原産のアナベル。
アナベルは、始めは緑色をしていてその後白くなり、秋にはくすんだ緑色になります。
万年橋のケヤキ
北山公園で花を楽しんだら、トトロの狭山丘陵を離れ、黒目川へ向かいます。
その途中、野火止用水が流れる万年橋のところに大きなケヤキの木が立っています。
用水路を跨ぐ根っこ
このケヤキはちょっと面白いです。根っこが野火止用水を跨いでいるのです。
用水路が先にありそれを根っこが跨いだのか、あるいは用水路を造る時にこの木を切り倒すのが惜しまれて根っこの下に用水路を通したのか。これは二説ありどちらとも決着していないそうです。野火止用水は1655年に引かれたので、後者だとすればこの木はほぼ400歳ということになります。
柳窪天神社の大木
黒目川にやってきました。
ここは柳窪天神社の前で、見上げれば大きな木が天を覆っています。このあたりはトトロの住処からは離れていますが、もしかしたら親戚が棲んでいるかもしれません。
天神社前の黒目川
この天神社前を流れる黒目川は『東京の名湧水57選』に選定されていますが、この時は水量がかなり少なく、ほとんど流れがないようでした。
もっとも黒目川の源流はこのすぐ近くの小平霊園の中の『さいかち窪』という窪地で、元々僅かな水量しかありません。
黒目川沿い
ここからはしばらくこの黒目川に沿って下って行きます。柳窪天神社からは鬱蒼とした木々が連なっています。
ところがこのすぐ先で川沿いの道は自転車進入禁止に。以前は通れたように思うのですが、とにかく現在は通れないのでちょっと迂回。
しんやま親水公園
久留米西団地に入ると川沿いは『しんやま親水公園』となり、ここからは自転車もOKです。
水遊びする子供たち
この親水公園はとても活気があり、特に暑い日は人気です。
この日は子供たちが水に入って泥団子作りに夢中になっていました。
久留米西団地付近の黒目川
この流れはかなりきれいで、クレソンが生えています。採って帰りたい!
時は15時半。一番暑い時刻で、そろそろ冷たいものを身体が欲しています。新所沢街道に出たところにセブン-イレブンがあったのでアイスクリーム休憩です。
野火止用水歴史環境保全地域野火止地区
アイスクリームで身体を冷やしたら、その先、野火止に入ったところで川沿いを離れ、トトロの親戚を探しに行きます。
このあたりには東京都の保全地域がいくつかあり、まずは野火止用水歴史環境保全地域を通って行きます。野火止用水歴史環境保全地域は野火止用水とそれに隣接する樹林地から成り、ここはその中の野火止地区。
清瀬松山緑地保全地域
次は清瀬松山緑地保全地域で、ここにはかつて結核研究所がありました。隣には日本BCG研究所と現在の結核研究所が立っています。私はBCGワクチンを打ちましたが、現在は打たないそうですね。それだけ結核が重大な病気ではなくなったということでしょう。
かつて昭和20年台までは結核は不治の病と言われていました。『となりのトトロ』の舞台は昭和30年代前半とされているようで、その当時はすでに結核予防法が施行されており、かなりの程度結核も治る病となってきていました。メイとサツキのお母さんが結核であったかどうかはともかく、エンディングではお母さんが帰ってきたように描かれていますね。
野火止用水沿いを行く
さて、ちょっと戻って再び野火止用水沿いを行き、
野火止用水歴史環境保全地域小山地区
野火止用水歴史環境保全地域の小山地区を通り抜けます。
こうした保全地域には5つの種別がありますが、いずれも自然の保護と回復を目的にしています。
幸町1丁目を流れる黒目川
黒目川に戻りました。
柳窪天神社の前では極僅かの水量しかなかった黒目川も、ここまで来ると立派な流れになっています。
黒目川と落合川の合流点
西武池袋線の線路をくぐってしばらく行くと、黒目川に落合川が流れ込みます。
ここからは落合川を遡ります。この川沿いにもトトロの親戚がいそうなのです。
落合川
落合川は垂直のコンクリートの護岸で味気ないのですが。川の中は活気があります。
川遊びをする子供たち
子供たちが大勢川に入って楽しそうに遊んでいます。
この川は水がきれいで浅く、流れも穏やかなので川遊びに持ってこいです。
川遊びをする子供たちその2
日本中あちこち行っているユッキーは、四万十川くらいでしか子供が川で遊んでいるのをは見たことない、ということで、この様子にびっくりしていました。
竹林公園
子供たちの川遊びを眺めながら落合川を遡って行くと、川からちょっと離れたところに竹林公園があります。
竹林公園その2
かつては日本中のどこでも竹林が見られましたが、現在はかなりその数を減らしているようで、東京近郊では滅多に見掛けなくなりました。こうした竹林も都市部では貴重なものとなってしまいました。
実は私の故郷でもかつてはたくさん竹林があって、春にはタケノコごはんをたくさん食べたのですが、タケノコ、高い〜 のはそのせい?
竹林公園の湧水
竹林公園には湧水があります。この池に見えるところの奥から水が湧き出ているのを見ることができます。
ということで、この水はとっても冷たいです。
毘沙門橋付近
南沢通りの毘沙門橋が近づくと、水着を着た女の子がお父さんといっしょに歩いています。そのお父さんの手には浮き輪が。
毘沙門橋下
毘沙門橋までやってくると、ここでも子供たちが大勢水煮入ってジャブジャブやっています。
アタシも入りたい〜
南沢緑地
毘沙門橋の先で川を離れ南沢緑地にやってきました。
落合川のきれいな水はどこからやってくるのかと言うと、その一つはこの南沢緑地の奥にある湧水です。
南沢緑地の湧水による流れ
先ほどの竹林公園にも湧水がありましたが、この南沢緑地のそれは比べ物にならないほど水量が豊かで、こんこんと湧き出ています。ここは真夏でもひやっとする涼しく、この日も身体を冷やすことができました。
予定ではこのあとかつて薪炭林だった南町緑地保全地域を巡るつもりでしたが、ちょっと疲れてきたのでこれで上がりとし、ひばりヶ丘駅へ向かいます。
スターハウス53号棟
その途中、ひばりが丘団地に珍しいスターハウスが残っているので覗いてみました。スターハウスはかつての公営住宅の標準モデルの一つで昭和30年代に多く建てられましたが、その後、今日もよく見られる板状住棟に取って代わられました。このひばりが丘団地のスターハウス53号棟は申し込めば内部の見学もできますので、興味ある方はどうぞ。
あと、このすぐ近くには、これまた一時かなり建設されたテラスハウスと呼ばれる形式の住宅を改修してカフェなどに転用した『ひばりテラス118』があります。
打ち上げ
都心から電車で僅か30分のところに、本当にトトロが棲んでいそうなところがあります。そこは今にも都市化の波に呑み込まれそうではありますが、なんとかこうした自然を残したいものですね。