水戸市の南隣に位置する茨城町から筑波山の北側を通って下館まで、市街地を避けつつほぼJR水戸線に沿って走ります。
茨城町は水戸市のベッドタウンでもあり、出発地点の国道6号線水戸バイパスの脇には巨大なショッピングモールがありました。
この出発点から5分ほどのところに北関東自動車道が通っており、それに側道が付いているのでしばらくこれを使うことにしました。
写真はその側道に行くまでの間に通った道ですが、先ほどの現代人の生活臭いイオンタウンあたりとはまるで異なる雰囲気なのに、驚き。
北関東自動車道に出ました。このあたりのその構造は高架橋ではなく掘割型で、あまり目立たないのが○。
周囲はちょっとした畑と針葉樹林で、すでに田舎の雰囲気です。
しかし今日の田舎の景色と言えば田畑や林ではなく、太陽光パネルなのかもしれません。
先に見えるのは筑波山の東に位置する岩間から笠間あたりにかけての山です。
常井に杜の前に小さな鳥居が立つ鹿島神社がありました。常陸の国の一之宮は鹿島神宮ですから、これはその分社でしょう。
このあたりの紅葉はあまり進んでおらず、鳥居の後ろに見える大きな欅はこのまま葉を落としそうです。
関東平野の主要産業の一つは現代でも農業だと言っていいと思います。茨城町とその周辺には伝統的な農家がまだかなり残っています。
茨城町から水戸市に入ります。突き当たりは水戸市下野町。といっても急に風景が変わるはずもありません。
前の写真の田んぼとこの写真の道は、先日訪れた涸沼に流れ込む涸沼前川沿いにあります。
この時期は田んぼはすっかり稲刈りが済み、畑は端境期で冬の作物の植え込みの準備中。
この畑ではネギだけが植わっています。ネギは白い部分が好まれるため、青くならないように成長に合わせて土を盛っていくので、どんどん土の三角形が高くなっていきます。
西に山が見えてきました。あれは先ほども見えた岩間から笠間にかけての山でしょう。筑波山と加波山はあの後ろに隠れていてここからは見えないようです。これからしばらくはあの山に向かって走ります。
常磐自動車道をくぐり抜けると、先ほどから見えていた山の向こうに筑波山(877m)の二つの頂が見えました。筑波山は見慣れているせいか、どこから見ても大抵は分かります。
右手の山は難台山(なんだいさん、553m)らしいのですが、ん〜ん、聞いたことない・・・ はっきり言えば、筑波山以外はみんな知らない山なのです。(笑)
水戸市から笠間市に入りました。ここは内原駅と友部駅の中間地点で、気持ちのいい畑の西にはこれまで以上にたくさんの山が並んでいます。筑波山の東にはこんなにたくさん山があったのかと驚きです。
右端から少し左に寄ったところの奥に加波山(かばさん、709m)が見えています。この山は筑波山系の山の中では筑波山に次いで二番目に高く、筑波山が少々離れたところにあり独立峰のように見えることからこれを除いて加波山系という呼び名もあるくらいなのに、姿が地味な上、周囲に同じ位の高さの山があるため、まったく目立ちません。
JR常磐線の線路を渡ります。
今日はJR水戸線沿いと冒頭で言いましたが、その水戸線は栃木県の小山駅から茨城県の友部駅までで、そこから東は常磐線なのです。
この道は友部駅から北に延びているもので、古くからあるものだろうと思いますが舗装は新しく走りやすいです。
ほとんど真っ平らな関東平野は市街地以外であれば大抵のところに簡単に道を通せます。しかしそれが為にほとんどの道がこのような二車線になりました。さして重要でない道でも。すると車は道が空いているので必然的にスピードを出すようになります。これが歩行者や自転車にとってはちょっと問題になるのですね。道を広げたり新たに通したりすることは一般的には良いことだと考えられていると思いますが、計画は慎重にされなければなりません。
上の道は自転車で飛ばすには悪くないのですが、私が好きな道よりだいぶ広いので、より狭い道に入ってみました。
かつて日本の道はその建物と同様に、一間、二間、三間と、間(けん)という単位を元にして造られていました。一間は約1.8mです。この道はその一間道だと思います。少し前までちょっとした道はこの一間で充分だったのです。こんな道、今ではほとんど誰も使わないだろうな、と思いつつ走っていると、向こうから自転車に股がった女子高校生がやってきたのでびっくり。『おはようございます!』『やあ!!』
笠間市笠間に入ると『芸術の森公園』があります。笠間は古くから焼き物で知られたところで、この中には陶芸美術館があるのですが、最近人気のスケートボードができる『ムラサキパークかさま』もあります。
その前からはきれいな円錐形の吾国山(わがくにさん、518m)が見えます。その右、画面中央のなだらかな頭が加波山、一番右が燕山(つばくろさん、701m)でしょう。
山は吾国山から左にもずら〜っと続いています。中央から左に、難台山、団子石、愛宕山、鐘転山と並んでいるはず・・・ 筑波山はあの向こう側。
今日は笠間のまちに立ち寄らずにこのまま先を急ぎます。
川に出ました。これは涸沼川で、今朝見た涸沼前川は涸沼近くでこの川に流れ込んでいます。
コンクリートで固められていない護岸はてても気持ちいいです。
涸沼川からは一気に高度で20m上がって高台へ。(笑)
畑では焚き火。その横をおばあさんがカートに野菜を積んで移動して行きます。
臼木の集落を抜けて行くと竹林がありました。
かつて竹は建築や農業用の資材として使われていたのでどこにでもありましたが、最近は滅多にお目にかからなくなりました。
ここは上の竹林の先ですが、左手が落ち込んでいるためかカードレールが設けられています。道の格からしてこのガードレールはとても不自然で、異常に目立ちます。まあ安全第一ですが。
南に吾国山と前山が見えてきました。
この前山は吾国山の前山という意味だったのだろうと思いますが、国土地理院の地形図にはそのまま『前山』として掲載されています。
ここでJR水戸線の福原駅に近づくことにしました。小さな山を二つ越えなければなりませんが、最初のそれはピークの標高が75m、上り出しは65mくらいなのでギャップは10m。(笑)
この道、まだ少しは生活に使われているらしい山道で、楽しい。
ピークを越えて下って行くと、毬栗がたくさん落ちています。みんな口をパックリ開けていて、私を食べて、と言っています。
みんなというわけにはいきませんが、いくつかバッグのポケットに入れて持ち帰りました。もちろん晩に栗ごはんにしました。おいしい季節の味です。
もう一つの小山を越えて福原駅が近づくと、南西の加波山と燕山が大きくなってきました。
このあたりは今朝見た岩間から笠間あたりの山の中なので、多少なりともアップダウンがあります。このあと本日の最高標高地点の95mまで上ります。
笠間市を出て桜川市に入りました。ここまで来ると、これまで見てきた吾国山を始めとする筑波山より東に位置する山群は去り、前方に見えるのは筑波山から北に続く山々になります。それらの中の加波山や燕山など多くの頂が桜川市にあります。
正面にデ〜ンとその燕山。燕山は加波山系でもっとも北に位置する山です。ここからは燕山の北側を廻って進みます。
田んぼの中を進んで行くと先に巨大な欅が見事に紅葉していました。それも黄色と赤と二本も。これが本日一番の紅葉でした。
そういえば欅の紅葉は遺伝子に書き込まれているようで、その木によって赤くなるか黄色くなるか茶色になるかが決まっているそうです。
JR水戸線の羽黒駅付近を通過。
南にはあの燕山が鎮座していますが、線路の北側にも低い山が並んでいます。
南側から燕山が迫って来るので、必然的に道はその裾野をぐるりと廻るように進んで行きます。すると岩瀬駅に出ました。
時は11時ちょっと前。まだ昼飯には少々早いですし、この時刻では食堂も準備中のところが多いでしょう。ということでここはスルー。
岩瀬駅はJR常磐線の土浦駅付近を起点とする『つくばりんりんロード』の終点です。
一昨日の企画でこの自転車道を土浦駅から筑波山付近まで走ったのでした。
岩瀬駅前を出てしまったものの、今日は基本的には市街地に立ち寄らないつもりなので、食堂が見つかったら入るつもりです。
しばらく行くと道端に『うどん』の標識があったのでそれに釣られて畑道に入って行きました。ところがこのうどん屋、畑の奥のそのまた奥の奥でした。それなのにこの日は定休日でがっくり。こんにゃろ〜
ようやく燕山の引力圏を脱したようで筑波山が見えてきました。
筑波山は双耳峰で、左が女体山(877m)、右が男体山(871m)。ほとんど同じ高さですが女の方がほんのちょっとだけ高いです。
桜川市の大国玉(おおくにたま)の広大な畑は緑色でした。
葉もの野菜のようですが何だかよくわかりません。しかしこの時期、この緑色はとても新鮮に見えます。
手前の畑は大豆のようです。その向こうに筑波山がきれいな姿を見せました。
今頃垣根できれいな花を付けるのはサザンカです。垣根の場合は2m程度で剪定されることが多いですが、そのままにしておくとかなり大きくなります。この木は5〜6mはあるでしょうか。
桜川市から筑西市に入りました。このあたりからも筑波山がよく見えます。(TOP写真)
ここには常夜灯が立っています。おそらくこれは筑波山へお参りに行くためのものだと思います。筑波山は筑波神社があることからもわかるように、古くから信仰の対象でした。
ここまでできるだけ細道を繋いできましたが、この先には細い水路があり進めなさそうです。r149を行き常磐橋で小貝川を渡る以外に手がありません。
小貝川を渡るとそろそろ正午です。このすぐ近くに下館駅があるので、そこを本日の終着地とすることにしました。
下館のまちのすぐ東には小貝川の支流の五行川が流れています。ここからもあの筑波山がよく見えます。筑波山は二つの頂の相互の距離やその形から、どの角度から見ているのかはっきりわかるのがいいですね。
正午ぴったりに下館駅に到着。
結局ここまで食堂がなかったので昼食はまだ。ということで駅前で食堂を探しましたが見つからず、ちょっとうろうろして餃子屋さんに入りました。
今日は筑波山の東に位置する山から始まって、一日筑波山系の山を眺めるポタリングでした。ほとんどがカントリーロードで快適な上、広い関東平野が感じられると同時に、ちょっとだけアップダウンが楽しめるコースです。JR水戸線が近くを通っているのでエスケープしやすく、初級者でも楽しめると思います。
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